フリーランスのシナリオライターにとっての「持ちキャラ」が持つ意味
持ちキャラ、持ちタイトル
フリーランスのシナリオライターにとって、「ルートをもらう」というのは、憧れだそう。
フリーランス、とあえて書いたのは、意外と、内勤だとそれほど「ルート欲しい」って気持ちにならないのではないかと思ったから。
定期的な収入があり、フィードバックをもらえる環境で、いい仲間がいて満たされていると、そこまで「ルートをもらう」事を自己実現として考える事が少ないのかも。
ちなみに、「ルートをもらう」というのは、キャラルートを書くという事です。「ノベルゲームで」最近多いお仕事だと、100,000文字~150,000文字程度の、攻略キャラと女性主人公と恋愛シナリオを書く。という意味合いになってきます。
収入的な意味でも、このキャラルートを1本持つ事は大きいのですが、イベントシナリオでなく本編を任される、という事はメインライターのひとりとして認められたということで。
◯◯(キャラ名)ルートを書く、という事は、ちょっといやらしくも思える言い方をすると「私の持ちキャラは◯◯」と言える。
という事になります。タイトルのメインライターだと、持ちタイトル、と言ったりします。
フリーランスになった場合、案件を定着させるという意味で、持ちタイトル、持ちキャラを持てるようになる事を目標にするのですが、最終的にはお客様を自分に付かせる事ですね。
人間は基本的に、変化を望まない生き物なので、「この人がいい」となったら、継続的にその方に依頼をします。
つまり、突き詰めると、上手か、速いか、安いか、人付き合いがいいか。
それが難しい方は、エージェントに登録するしかありません。
ひつじぐもでもライターさんを募集していますが、外部パートナーの合格(採用)者は10人に1人くらいです。スピード感が重要なので、合格しても結局お願いできない事が結構あります。
1日10,000文字書けるかどうか。
応募の際にはこれくらいの数字をおっしゃってくる方が多いですが実際に執筆してみると難しい方が多いようです。
なんだかんだ〆切間際の修正が大変なので、慣れた案件で、これくらい書ければ、きっとクライアントも安心されると思います。
「人間椅子」春陽堂の江戸川乱歩文庫のパッケージ力には痺れるしかない
先日男遊郭のイベントにお邪魔した際に、空き時間で文豪ストレイドッグスの1巻を読ませてもらいました。
羅生門という言葉の響きは、確かに強そう。
その中に、江戸川乱歩もいるらしい。
じゃあ何だ、人間椅子かと話してたら「超推理」だったというオチ。
言葉の響きだけでいうと、超推理よりも人間椅子のほうが余程まがまがしいのですが、「人間椅子」のお話を覚えていなかった。多分読んだことはあると思います。
ちょうど表紙買いしたものが家にあったので、再読してみると……。
実際のところは、星新一先生のようなショートショートで、淡々としながらやたら色気のある文体。あくまで私感ですが、収録されている短編は、グロテスクというよりも、どちらかというとシュールで、人間の悲哀が感じられるものばかりです。
完全に「人間椅子」という響きにやられてしまっていたのです……。
江戸川乱歩先生のネーミングセンスはハンパない
江戸川乱歩先生といえば、「陰獣」「人間椅子」、どれも生々しく、グロテスクな想像を掻き起こすタイトルばかりですが、この素晴らしいネーミングこそが、江戸川乱歩先生の短編の本懐のように感じます。
そして今回、是非ご覧になっていただきたいのが、没後50年を記念した新装版になり登場した、多賀新さんの装画です。
もともと表紙買いをするきっかけがこの表紙でした。
江戸川乱歩先生とどういう関わりがあっての表紙抜擢なのかわかりませんが、この表紙の発するエネルギーには痺れます。
M字開脚している女性がグロテスクな性器を晒している。
表表紙だけだとよくわかりませんが、裏表紙の全景イラストには、腕が変形して、男性になりつつある様子も描かれています。その男性もまた頭が性器……どういう世界観なんだか、頭を抱えたくなってしまいます。
「人間椅子」その言葉の響きから想像するグロテスクなものが描かれている装画
本編の内容のみで考えると、この装画がベストマッチかと言われると疑問です。
抽象的なモチーフである事を差し引いても、この絵は内容を表現しているとは言いがたい。しかし、この人間椅子というタイトルのおぞましさ、まがまがしさで想像させるものをよく表現しているなと感心させられます。
そういう意味では、この小説のプロデュース力には脱帽です。
今書籍が売れなくなってきている、という話をあちこちで耳にします。
実際編集の方、出版社の方もいろいろな切り口で新たな販売チャネルを見いだそうとされてると思いますが、私はヘタに人間椅子を読み込んだ専門課が本編そのままの商品にするよりも、江戸川乱歩のイメージ、人間椅子というイメージ、そしてそれに期待する読者の期待を裏切らないパッケージを提供するというのがとても面白いなと思います。
クリエイティブ飲み会 in Fukuokaレポート
昨日、主催したクリエイター飲み会が無事終了しました。
お店はよくランチを食べに行くDaysさんに相談して貸し切りにしてもらいました。
ちょうど〆切が押してしまい、準備に手間どい、さらに夕方から土砂降り……。
沢山の方が集まってくださいました。(幹事のかほくさん、とても頑張っていて、お帰りの際はエントランスまでお見送りをして幹事ってそこまでするんだっけ? と地味に驚きました)
今回の開催の理由は、ちょうど私の友人でビジネスパートナーでもある水野さんが北海道から福岡に遊びに来てくれた事がきっかけです。
彼女は、出勤するように平日毎日ひつじぐもにやって来て仕事して帰っていくんですが(あと2ヶ月はいるそうです)これを機に自分だけでは成し遂げられない事やビジネスに繋がる交流をしたい。
という思いが日に日に強くなり。
そして、8月21日(金)。
結論から先に言うと、私自身も知見が得られる会になりました!
司会はかほくさん。
今回、この企画を思い立った経緯について。
自分は元々、広島の人間。福岡へ来てから4年ほど。
福岡は大好きだが、近しい職種の方と知り合うことができなかった。
それで今回、思い立った。
ちょうど、北海道から福岡に来ている、水野さんもいるし……
PRタイムでは、トップバッターが株式会社ジョイアスの内村さん。
ある意味今回目玉とも言える、喋る抱き枕の登場です!
なでなですると音声を発するんですが、「どこ触ってんのよッ!」
……あわわ……いきなりすっごいツンで胸が痛かった。。。
ナデナデをセンサーで判断するそうです。
そしてストーリーでデレになっていくそうです。
抱き枕がリアル彼女になる日も近いですね。
ぬいぐるみとかで情操にも使えるのではないかなと思ったり……。
次に、シナリオライターの日野光里さん。
「クローバー図書館の住人たち」でクレジットの載るお仕事を実現されたそうです。
このくだりがとて~~も、実感してしまいまして、かほくさんもうんうんと大きく頷いていました。
そうなんですよね、ライターさんの名前がタイトルパッケージに掲載される、というのは今やレア。モバイルアプリのお仕事がほとんどになってきていますし、そうなると運営前提のお仕事なので、関わる人数も多いし、文体も作家性を削いだものがほとんどなので、そもそもクレジットを出す事に企業側が必要性を感じないからなんですが、シナリオライターになるからにはそこを目指してステップアップしていきたいものですよね~。
そして最後に私が。
そこから自由に交流して、となったんですが今回の魅力としては参加者の皆さまと席が近い!
仕事の悩みとか、こういう人知らない? という事をダイレクトに質問したり、気軽にブレストできました。こういう場で同業種の方と出会うとほぼ確実に仕事のチャンスが巡ってくるのではないかと思います。
さて、最後に。
左にいらっしゃるのは、株式会社オリノスの粋華さん。
モデル活動もなさっていて、超絶美人。
かほくさんが突然オヤジになって絡んでいました。
参加していただいた皆さん、ありがとうございました!
次回もまた開催しようと思いますので、今回未参加だけど参加したかった……という方は是非リクエストをください!
ひつじぐもでは常時ビジネスパートナーを募集中です!
男遊郭✕カラオケの鉄人コラボ
まったく知らなかったのですが、男遊郭がカラオケの鉄人様とコラボをするそうです。
コラボルームの写真もいただきました!
こんなに一面に菊屋メンバーが勢ぞろいだと、落ち着かないのでは……と思ったのですが、落ち着かなくてもいいのか。とにかくこんなにしていただいて、テンションが上がります。
皆さまもみさをちゃんになった気持ちで、傾城にもてなされてくださいませ。
明日はオリンパスホールで、男遊郭イベント「夏の宵の花吹雪」開催の日です。
私たちひつじぐもも、こっそりお邪魔します。
この日のために、ここ数日、皆がお仕事を詰めて頑張っていたみたいで、嬉しくて。
台本を読んだ時、へえーって思う仕掛けがあって、きっとお客様はすごく喜んでくださると思うんですが、イベントではどんなふうになるのか……。
とにかく楽しみです。
ゲームシナリオライター職のセミナープログラムが完成しました
先日、打ち合わせしていたところ、「ライターとしてやっていけている人は才能がある」と言われました。
いやいやデザイナーやイラストレーターのほうが才能あるでしょ、と思っていたのですが、実際のところ、そのゲーム会社様の社員百名近い中、シナリオライターはたったひとり……。
そんな状況だと確かに特別視せざるを得ない状況なのかもしれません。
「初心者を実戦で登用するのは特に難しい」と結論をおっしゃっていましたが、シナリオライターの育成や採用については、どこで伺っても悩ましい問題だと実感した日でした。
そんなある日……。
ひつじぐもで、やっと研修用のプログラムが完成しました!
社内外で意見を出してもらって、とにかく「落とさない」事に注力しました。
物語を作ること、物語を伝えていくことはひつじぐものミッションだし、それを一生の仕事としてまずは楽しんでもらうことが本当に大事だと思っています。
でも、いざ仕事の場になると、一文字も書けなかったり、浮かばないという事も多々あります。
いきなりの挫折!! ……みたいな。
今回のプログラムでは、とにかく「書けるんだよ!」という事を伝えられたらいいなと思っています。
そういう意味では本当にとっかかりにしかなりません。
何人かでそうだよね、となったのが、シナリオ執筆で大事なのは「資料の読み込み」。
執筆にはどんな資料が必要で、資料のどこを重点的に読んでいけばOKゾーンに入りやすいのか、そういったテクニックに偏った事を中心に御話する予定です。
講演内容は以下を考えています。全社研修で1日で、まる2日になるでしょうか。
- 全社研修
- シナリオとはなにか?
- 必要なツールを用意しよう
- プロジェクトに参加してみよう
- プロジェクトフロー
- 資料の用意の説明およびワークショップ
- シナリオ作業時に必要な資料の用意
- フォルダ構成術
- 質問タイム
- ワークショップ(あるプロジェクトを例に必要な資料の整理)
- 企画の概要・説明
- その中の案件として、架空の依頼内容を話す&メールする
- バラバラの資料ファイルを受講者に送付
- 整理させる
- 整理後、圧縮し、メール研修も兼ねてメール送付させる
- 講師が確認、できた者から一抜け
- この時フォルダの構成内容を確認するだけなので専用ツールがあると良い
- 休憩
- 資料の読み方の説明及びワークショップ
- 必要な資料の読み方
- 資料の読解がとても大事なので、時間を取る
- 質問タイム
- ワークショップ
- 用意した資料を読み込む
- 特定のキャラクターを指定して特徴を書き出させる
- 送付させて講師が確認、できた者から一抜け
- シナリオを執筆してみよう
- 乙女ゲームとは何か
- 乙女向けシナリオ作成時の留意点
- ワークショップ
- 写経
- プロットを元に、500字程度のシナリオ執筆
- プロットを一行一行分解して解説しながら皆同時に執筆
- 必要な資料の読み方
- まとめ・感想
都度質問等の時間を設けて、変則的にはなるかと思いますが、ここまでの資料作りに数ヶ月要し、スタッフにも協力をお願いし、感無量です。
こんなセミナーを受けたいと想われるシナリオライター志望者を絶賛募集中です。
2014年までに島田類が手がけたタイトル&キャッチコピー制作実績
手前味噌ですみません。
「御社のタイトル(キャッチコピー)素敵ですね」と言われる事が多いので、まとめてみました。いいなと思われた方と新たなご縁ができれば幸いです。
(ビジネスパートナー絶賛募集中!)
その島は泡沫(うたかた)。
その愛は幻。
その遊郭で、誰のものにもならない男の一夜を買う。
嘘か誠か ふたりから囁かれる禁断のむつ言
男の生まれぬ、閉ざされた島。本土と相容れぬ、異質な文化が栄えていた。
島の中央には、一大遊郭。
ある女は子が欲しいばかりに。
ある女は愛を求めて。
――この遊郭で、誰のものにもならない男の一夜を買う。
嘘と知りつつ、騙され、騙す一夜の夢。
その末に、誰と愛を語るのだろう――?
男遊郭はとにかくタイトル勝ちだと思っています。
だいたい男女問わず、「男遊郭(絶句)……すごいですね」から始まります。
そんな男遊郭も、ご存じの方はご存じですが、当初は「男遊郭島」という、昭和の猟奇小説みたいなタイトルでございました。
2012年のタイトルですが、紆余曲折あって、PlayStation Vitaで発売いただける事になり、扇屋編も制作中です。
少女を抱くは 愛か狂気か
女王蜂の甘美なる交合、女王蜂の王房
今宵、寝所で繰り広げられるは淫らな祭宴
女王蜂とふたりの雄蜂は蜜に濡れた一夜へ堕ちてゆく——
女王蜂の蜜なる寵愛
これもタイトル勝ちだと個人的に思っています。
当時は何も考えてなかったのですが、「女王蜂」という言葉の持つエロパワーの強さのおかげでしょうか。
余談ですが、これを言うと驚かれることが多いのですが、実はエログロは苦手です!
眠れないあなたへ贈る、優しい夜の童話
それは、静かな雨音のなか、大好きな彼と一緒に紡ぐ小さな恋物語――
夜伽話と雨枕をセットでご紹介したのは、どちらも「安眠」をテーマにしたシリーズだというのと、アニメイトの某氏に「枕とか夜伽いうだけでどんなのかちょっと見てみようかな、と思ってしまう」とタイトルを褒めていただいたからです。
宇宙一の征服系アイドルを落とすのはキミだ!
ぬぐえない昭和臭……。(狙ってます……)
同居してる彼は悪人、それとも――
たくさんの恋愛アプリを見ながら、タイトルにすごく悩みました。ライトBLでピンクでポップにしたイメージビジュアルが個人的にキタって感じです。
アナと雪の女王を物語構成から考えてみた
こんにちは、鬼むぅです。 アナと雪の女王 | ディズニー映画見てきました。
運命に引き裂かれた王家の美しい姉妹、エルサとアナ──触れるものを凍らせる“禁断の力”を持つ姉エルサは、妹アナを傷つけることを恐れ、幼い頃から自分の世界に閉じこもって暮らしていた。 美しく成長したエルサは新女王として戴冠式に臨むが、力を制御できずに真夏の王国を冬に変えてしまう。 城から逃亡した彼女は、生まれて初めて禁断の力を思うがまま解き放ち、雪と氷を自由自在に操り、冬の王国を作り出す。 愛する者を守るため本当の自分を隠して生きてきたエルサは、“雪の女王”となることで生きる喜びと自由を手に入れたのだ。 一方、妹を守るために姉が払ってきた犠牲と愛の深さを知ったアナは、エルサと王国を救うため、山男のクリストフとその相棒のトナカイのスヴェン、“夏に憧れる雪だるま”のオラフと共に雪山の奥深くへと旅に出る。 アナの思いは凍った心をとかし、凍った世界を救うことができるのか?そして、すべての鍵を握る“真実の愛”とは…?
最近、クライアントワークでディズニー映画を立て続けに見たのですが、ディズニー映画は本当にストーリーの構成が素晴らしい。たとえばリトルマーメイドとかとも基本的な構成は一緒なのですが、常に新しさを感じるんですよね……。 Wヒロインということでキャラの対比が特に優れていたということで、絵の部分を重点的に、アナと雪の女王(吹き替え版)を見てみることにします。 まだ映画をご覧になっていない方は続きを読むのにご注意ください。あとうろ覚えなところもあるので、間違いがあるかもしれません。 ====
アナとエルサの服装
パーティの日でもまるで町娘みたいに軽やかなアン。
一方エルサは肩まで着込んで、いくら女王とは言え、かっちりしすぎのように見えます。
ダンスを申し込まれて断っていましたが、そもそもこの開いていないドレスでは踊れません。彼女は人付き合いを拒絶しているのです。
まとっている紫のドレスは王家の証でしょう。しかし、アンはそれをまとっていません。
ここではエルサは自分を偽っているんです。同時に、「人に本性を見破られてはならない」という決意や誇りを表現しているようにも見えます。 青と緑を基調にした地味な色のドレスじたい、目立たないように、目立たないようにと何かから身を守ろうとしているようにも見えます。寒い土地なのか? と思いましたが、周りは肩を出して、アンのようなドレスを着ているんですね。
寒がりにも見えましたが、そうではないことが後に分かります。 個人的にはこのマントは視覚的なメタファーとして重要に感じました。
紫のマントをまとうアナ
人々に魔法の力を見られて、高い山に逃げ込むエルサ。
それを追うアナ。
彼女は国を元通りにしなければという王家の娘たる決意、そしてエルサを連れ戻さなければという愛ゆえの使命があります。
国を吹雪が覆います。 ここでアナがまとうのは紫のマント。エルサが羽織っていた紫のマントそっくりです。
ここに彼女の決意や誇りがかいまみえます。
しかし、雪の中でこそ自分らしくいられると直感するエルサと反対に、アナは冬のブーツや服を着込まなければ雪の世界では生きていけません。
今や少し前のエルサのようにマントで体を覆わなければ自分を保てない存在なのです。ここでは完全に立場が逆転しています。
自由の代償
雪山に逃げ込んだエルサは今まで抑圧されていた秘密の力を解放し、美しい城を作り、美しいドレスを身にまといます。
女王と言うよりもこのいでたちは女神や妖精のようです。 彼女にとって、自分らしくいるということは、突き詰めれば人の世界を超越するものになるということなのです。
冒頭の抑圧された流れがあってこそのこのカタルシスはとんでもなく素晴らしい!
のですが、見ていたら涙が止まらないわけですよ!!
エルサが本当に人嫌いで山に引きこもっていた、というストーリーだったらここまで悲しくはならないでしょう。しかし、エルサは人を芯から拒絶しているわけでは無く、「自分は下界にはいられない、いては自分は心が死んでしまう」という(彼女なりの)真理を経て、追い込まれただけなんです。
なぜなら、あとでアンやクリストフ、果てはスパイまでやって来ますが、門には鍵がかけられてない。
出入り自由w
また、オルフというアナに幼い頃つくってあげた雪だるまを無意識につくったことからも、彼女は人との交わりを完全に断ってはいない(断ちたくない)ことがわかります。
後に雪の怪物も創り出します。そんなんよりまず門を閉ざせばいいんです。
しかし門は閉ざされない。彼女は訪れた人までを拒むことはない。ただ、傷つけられるのが怖い。その恐怖心こそが人を攻撃する魔法となってしまう。
つまり人を傷つけたくない、そして自分らしく生きたいという願いのために、人々を吹雪の中に閉ざし(自分が幸せになるためには人々は不幸にならなければならない)、自身は誰もやってこれないような山の氷の城に君臨するしか無い。
これが悲劇で無くてなんというのか。
自分らしく生きたいというあまりにも純粋な願いが比類ないほど美しく寂しい氷の城を築きます。このお城は彼女の精神状態を表現していますね。
兼ねてからLet it Goを映画館で幼児が歌うことがある、と知人の子どもから聞いていました。しかし、この流れで挿入されるこの曲、決して幼児が歌うような楽しく朗らかな歌ではないんですよね。
もちろん、心の解放も非常に重要なファクターなので、とても感動的なシーン、胸がすっきりするシーンではあるのですが。
(英詞を見たら、そっちのほうがニュアンスとしてはあっていました)
このシーンは本当にとても考えさせられる展開でした。
誰でも自分らしく生きたいと思うことくらいあるんですが、結局自由の代償に、美しい城で美しいまま、ひとり孤独に生きねばならないことが示唆されます。
しかも、彼女は女王であることを放棄していますから、その責任を取らなければなりません。=これが最愛の妹の死であったり、冬の続く王国の破滅を意味する。
結局、どんなに望んでも人が一人だけで生きることは不可能なんですね……。
会ったその日に結婚なんて!
この流れは実におとぎ話らしい。トロールの歌よかった。
ハンス王子ではなくて、山男のクリストフが王子様
Wヒロインも重要なんですが、ふたりの王子様(ハンス王子とクリストフ)の対比もとても面白かった!
ハンス王子は13番目の王位継承権を持つ王子ですが、一応は王子ですから、王女アナに求婚する資格があります。(しかし途中でまったく出て来なくなったので、まさかクリストフがヒーローなのか!とビックリしましたが)
で、クリストフは、ディズニーお得意のダメンズなので終盤になるまでアナの王子様だということがわかりにくくなっています。←ダメンズという点ではハンス王子もすごくそれらしくつくってあったんですが……。
実際山男と王女だと、普通に考えたら釣り合いは取れません。しかも、王女のほうは婚約者がいるんです。
しかし、クリストフが王子になった瞬間がありました! 煙る王国を見て、トナカイにまたがった時です。彼はそれまで一度もトナカイには乗っていません。
氷売りのクリストフにとって、トナカイはそりをひく動物。
そりがなかったら、クリストフはトナカイと一緒に歩いています。
背中に乗れば楽なのにね。
彼とトナカイは生計を共にする、同格の仲間、商売道具でもありますから大切にしています。
またがった瞬間、順列が決まりますから、それまで「山男」の彼にはトナカイに乗る資格がないんです。
しかし、アナが危ない! そう思った瞬間、トナカイにまたがってアナを救うために、猛然と駆け出します。愛を自分の中に見いだして、本当の騎士(ナイト)になったんですね。 タロットカードでもそうですが、乗馬している勇ましい若者が騎士の証です。
もちろん、彼は本来、正統な騎士ではありません。だから乗っているものもトナカイなんです。しかし、アナも王女らしくない王女ですから、お似合いのふたりということでしょう。ふたりは最初から最後まで(途中挫けそうになったりもしたけど)冬の厳しさに抗い、自分らしく生きようとします。
そういった姿勢が結果的にエルサの凍った心を溶かすことになるのですが、皆が他人を思いやることこそが愛なのだと謳う、クライマックスからエンディングの流れはさすがディズニーと言える終わりで、本当に大満足でした!!
最後に、映画を見終わった後に買ってしまったサントラ。
WALT DISNEY RECORDS (2014-05-03)
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