強さの本質
先日、ある女性社長の書籍を読んだ。
ブログを頻繁に更新されている彼女は、メディアにも顔を出していて、広報戦略はお手の物。
有能なスタッフや笑いの絶えないオフィスがWantedlyで売りになっている。そんな、何もかもキラキラした存在、という印象だった。
が、その印象は、この書籍を読んで180度変わった。
まず、文体が現在のものとまるで違うのだ。
口述筆記でもしたのかと思うほど性急な展開。持論については、経営者なりの厳しい言葉が並ぶ。
まさに「鉄の女」。
そんな言葉がふさわしい、人柄と精神力が垣間見えた。決してネガティブなテーマばかりではなく、利益を追及し、社会にどれだけ貢献すべきか。全て根幹はそこであり、エゴではない。私的には、具体的な数字のこともいろいろ盛り込んであって、大変参考になる書籍だった。
さて、この本が出版されたのは2005年。10年以上前ということになる。
amazonのレビューの評価は低い。その間、他にも書籍を出されているが、最近の書籍は評判がいい。
この当時の鉄の女っぷりは、確かに人々の反感を買ったに違いない。誰もが憧れるような存在なのに、この人は私たちとは違う。圧倒的に優れている。真似などできない。
――そう、反射的に思ってしまうのだ。女性起業家の憧れの星、とも言われていただけに、読後の落胆や反発も大きかったと思う。
それから10年して、現在の彼女の文章は明らかに優しい。行間を多用し、わかりやすく、共感を得やすい。
もともと求人広告をターゲットに合わせて書くのは得意なのだそうだ。年齢で丸くなったのもあるかもしれないが、実際のところは、あえて変えていったと考えるのが自然だろう。
恐らく彼女の本質は変わっていない。伝え方が変わっただけなのだ。できるだけ敵を作らないように、反感を買わないように、応援してもらえるように。
自分らしさを保ちながら、相手によって伝え方を変える。応援してもらう。そして人を幸せにする。そのための手段は、いい意味で選ばない。幾通りも考え、実行する。当たり前のようだが、外部因子があれば迷うのが人ではないだろうか。
それでも、原点に立ち返り、必要な方法をとることができる。それこそが経営者、というより人間としての強さだと感じた。
自分を振り返ると、反省するばかりの年の瀬ですが……
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