鬼むぅブログ

女性向けゲーム(乙女ゲーム)業界でクリエイターとしてどうあるべきか、成長戦略を練るひつじぐもCEOのブログ。

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20代の乙女ゲームシナリオライターがいなくなりつつある現実

※2017/1/27追記 この記事は執筆してからかなり時間が経っており、中でもソーシャルゲームにおける乙女ゲームの位置づけはガラリと変わりました。それにより、シナリオライターといっても、この記事に書かれているシナリオライターと現在のシナリオライターの職能と意味合いは厳密には異なります。

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シナリオライターの方のためのセミナーなども行っております。

時折、『シナリオライターポートフォリオ』『シナリオエディタ』等のキーワードで当ブログがヒットするようです。直接的に採用や雇用につながるノウハウではないのですが、シナリオライターについて思うことをつづってみました。

目次 

 

絶滅危惧種になりつつある、若手のゲームシナリオライター

 

ちょうど、ひつじぐものシナリオライターであるかほくと話題になりました。、 「最近若いシナリオライターを見かけない」って。 継続して取引のあるひつじぐものライターさん(5人程度です)でも、一番下で、たしか30歳。 20代の乙女ゲームシナリオライターさんにお会いしたことがないのです。 単に私たちと巡り合わせがないだけならそれはそれでいいのですが、ひつじぐもの新卒採用でも、CG職応募は結構数ありますが、シナリオ志望の方皆無です。 他の職種と選考資料の難易度が違うのでは? と言われると、確かにシナリオライターには他の職種にはない課題があります。

殺人鬼・20代総理大臣・医者・幼馴染み・料理人・IT企業社長とともに無人島に置き去りにされた主人公(女性/年齢は20代まで)。いずれかの登場人物との恋愛ストーリーを考案してください。10,000文字〜25,000文字にまとめ、プロットを別紙添付のこと。様式は標準的なノベルゲームに準拠。

なかなか難しいですね。私は枠組みという枠組みを嫌っていきてきたので、このくらいのお題は大歓迎なんですが……。 ただこれを見て、面倒くさいな、自分にはできないなと思う方は、シナリオライターには一生なれません。 これはごく普通のライターで、1週間もあればできる量です。かなり遅いライターで、2週間でしょうか。入社するにしろ、フリーランスになるにしろ、これが1ヶ月でできなければ、とりあえずシナリオライターは無理です。 ちなみに……他社のシナリオ職の課題も拝見したことがありますが、やはりひねったものを出している印象です。 シナリオライターはある程度与えられた材料で最善のものをつくる仕事なので、乙女ゲームにそぐわないテーマをあえて与えて、どの程度乙女ゲームとしていけるものを「考えてくるか」を見ているのだと思います。 ただ、外注さんだとある程度完成されたテキスト執筆能力が必要ですが、こと採用においては、その時点でのテキスト執筆能力はそれほど問題にしていない可能性があります。選考基準は明かせませんが、とりあえずひつじぐもではそうなります。

適性について

自分の好き勝手に好きなものを書く仕事より、オーダーにあわせておもしろいものを書く仕事のほうが多いので、適正として、 〇文章を書くのが好き ×自分の考えたお話、文章が好き 自分の文体で書かせてもらうまで、3年、4年はかかります。 フリーランスだと縁のない方も多いでしょう。というか、そもそも文体らしき文体のない方もいらっしゃいますね。それはそれで食いっぱぐれることが少なくなるので、あながち悪い話ではありません。 自分の考えたお話……のほうは、これもお話作りのプロであればむしろお仕事は全然来てしまいます。おもしろいプロットを作れる方はどこにいてものどが出るほど欲しいものです。ただこれも与えられた設定や世界観を生かしておもしろいものを、となります。 構成かテキストか。それだけの違いになるので、どっちが偉いというものでもないと思います。 ひつじぐもでは、男性の方が構成がうまいのではないかという仮説のもとに、男性にプロットを依頼したことが数回ありますが、結果としては、そんなことはありませんでした。 ライターの中ではプロット作業は軽視されがちな要素ですが、基本的にはプロットを何度もつくらないと、当たり前のことですが上手にはなりません。私もプロッターですが、ライターさんに書くのがおもしろかったと言ってもらえるのが一番うれしいです。(しかしプロッターとライターの関係は微妙なものですから、社外の方にはなかなか言われたことはありません)

ヤングは長い文章を書けないのかもしれない

 

話がずれましたが、なので、そもそもシナリオライター職を志望する若い人の絶対数が少ないのではないか、と思うのです。 最近の若い方はシナリオ職に魅力を感じないのではないか? いや、魅力を感じる感じないといったレベルではなく、そもそも1ルートを書き切れないのではないか? 1ルートを書き切る……という表現がよくわからない方に少し詳細にご説明しますと。たいていのノベルゲームにおいて、シナリオは分業化されていることを前提にお話しますね。 特にモバイルゲームでは(コンソールでも似たようなものですが)短めの共通ルート(=プロローグ)終了後、A君を攻略するルート、B君を攻略するルート、……とルートを固定する仕様がほとんどです。このルートごとにライターを配置させるのです。 呼称表や口調の確認等、シナリオディレクションで全体的なクオリティの統一をはかっています。 シナリオライターの採用を決定するか否か、 ここでは、1ルート=100,000文字としておきましょう。メディアや企画によりけりで、コンシューマになってくると、もっと長くなってきますが、イメージできなければ、文庫本1冊弱とお考えください。 これを用意されたあらすじに沿って書く場合(つまり執筆するに足る資料が執筆開始時で全てそろっている場合)、当社で許されるのは最長1ヶ月です。もちろん、社内で仕事をするということは、シナリオを執筆する以外に外注さんとの渉外や合間、合間にあがってくる納品物の確認、出張などをこなしながらにはなってきますが、これが目安です。フリーランスで生活する場合、このスピードはたいてい「ちょっと遅いね」と評価されてしまうと思います。

好きな人しか続けられない

 

ただ、この執筆スタイルはベテランならこなれてできるかと言うと、いかに慣れていても、苦しいものです。ゲーム原画もそうですが、長期間関わって行くにつれて、苦痛に近くなってくるそうです。 最後のエンドマークをつけるときに報われる。起承転結でいう「転」まではたいそう苦しいお仕事です。 情熱がなければ続けることができません。 しかし、情熱があればあっただけ最善を探して、絶望してしまう時もあるようです。 よくかほくも嘆いていますが、別に私がしかり飛ばしているわけではありませんよ。ディスカッションはしますし、その時は互いにヒートアップしますが、話し合える余地があるというのはいいことです。 でも、自分はごまかせない。もっといいものを書けたはず、と悔しくなる。求められたクオリティとは関係ないんですよね。ある意味求道者にも似ている気がします。

まとめ

乙女ゲームに限らず、私はパッケージは絵で魅せて、シナリオで引き込むのが理想だと思っています。長く売れ続けるためにはシナリオの出来が左右するということです。 若い方が若い感性でシナリオを書いていってほしい、そしてそれを読ませてほしいな! と切実に思います。 ただ、どこのメーカーさんでもそうだと思いますが、シナリオライターっていいよ、なりなさいよと誰彼かまわずは言いません。というか、言えません。

これを読んでいただいている皆さんが、一生これで生きていきたいと思えるお仕事に出会えますように。

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